新入社員でもわかる!人事制度のことをまとめて解説!

人事制度とは

人事制度とは、企業が従業員を管理するための仕組みのことで、経営資源である「ヒト・モノ・カネ」の中で「ヒト(人)」に関するルールになり、企業が従業員管理の効率化を図ったりモチベーションやスキルの向上を図るためのいろいろなルールを定めています。中小企業では人事制度を導入していない場合もありますが、大企業では組織の規模と企業運営の面からほとんどの企業で導入されています。

人事制度の目的

人事制度の目的はいろいろありますが、経営者の視点からだと「従業員のスキルアップやモチベーションアップを図りながら、経営理念を従業員に浸透させ、経営戦略を実行し、企業の成長につなげる」というものになり、そのための具体的な内容が下記になります。

人事制度を設定・運用する目的

処遇の決定給与、賞与、昇進・昇格の決定
人員配置個人の能力や適性を把握することで、人員配置や移動に活用
適材適所の実現
教育・育成業務上の課題の可視化、フィードバックによる人材育成

明確な基準を持った人事制度を打ち出すことで、これまでの主観的な評価と比べて客観的に従業員の能力や貢献度を把握することができ、適切な処遇や人材配置を決めることができるようになります。また、従業員から見ても公正で具体的な評価はモチベーションアップにつながり、結果として企業全体のパフォーマンス向上につながります。

人事考課と人事評価の違い

おそらく人事評価と人事考課の違いをしっかりと理解して使い分けている人は少ないと思います。実際のところこの2つの言葉はほぼ同じ意味合いとして使われている場合が多く、ほとんどのサイトや記事で同じ意味合いで使われています。

人事考課(人事評価)とは

人事評価(人事考課)とは、定められた期間の中で従業員の仕事状況や成果、企業に対する貢献度、能力などを一定の基準で公平に評価することで、その評価結果から従業員に対して適切な処遇を行う(昇格や昇給に反映させる)ことを目的とした仕組みが人事制度です。

人事考課(人事評価)の歴史

これまでの日本企業の多くは「終身雇用制度」を採用していましたので、給与に影響を与えるのは「勤続年数」と「役職」だけでしたが、バブル崩壊以降、多くの日本企業が経営の見直しと立て直しを行うために、勤続年数や役職ではなく従業員個人の業績や成果を給与に反映させる「成果主義」を採用しました。
しかしながら、欧米式の成果主義をそのまま導入することで、これまでの日本企業の良い点(助け合いやチームワーク)がなくなってしまい組織運営にマイナスの影響があり、現代では成果や業績だけでなく能力や行動も加えた二段構えの評価を行うことがスタンダートな評価方法になりました。

人事考課と人事評価の違い

もともと日本の多くの企業で使われていたのは「人事考課」という言葉です。それが時代の移り変わりの中で「人事評価」という言葉が使われ始めました。故に多くの企業で2つの言葉は同じ意味合いで捉えられ使われています。

「人事考課」と「人事評価」を辞書で調べてみると

人事評価と人事考課という2つの言葉はビジネス上において普通に使われていますが、実はこのうち1つは辞書(日本語辞典・国語辞典)に載っていません。

辞書名(出版年)「人事考課」「人事評価」
日本国語大辞典(1974年)
実用新国語辞典(1985年)
日本語大辞典(1989年)
広辞苑 第五版(1998年)
広辞苑 第六版(2008年)
広辞苑 第7版(2018年)

辞書別記載有無(2020/02/13調べ)
△…「人事」項目内にて説明あり

「人事評価」という言葉はどの辞書にも載っていなくて、逆に「人事考課」という言葉はどの辞書にも載っていました。
このことからも「人事考課」という言葉がもともと広く使われていて「人事評価」という言葉が意外と最近使われ始めた言葉だということは明らかです。
ちなみに辞書に記載されている「人事考課」の意味をまとめると下記になります。

【人事考課(じんじこうか)】

従業員が業務遂行に発揮した能力や、従業員の成績・態度を評価し、その人の処遇に反映する制度。給与査定や人事決定の資料となる。

能力判定。能力考課。勤務評定。

「考課」と「評価」を辞書で調べてみると

人事考課と人事評価だと「人事評価」が辞書に載っていませんでしたが「考課」と「評価」という2つの言葉を辞書で調べてみたところどちらも辞書に載っていました。

【考課(こうか)】
①律令管制上の語。各官庁の長官が毎年部下の執務態度・品行などを調べて、上上から下下までの九等級に判定し、上申した。
②養老令の編名。官吏をその執務成績・操行・才能によって評価すること。
③軍人・官吏・学生などの成績・操行・学業を調べて報告すること。また、銀行・会社の営業成績を調べて報告すること。

【評価(ひょうか)】
①品物の値段を決めること。その価格。
②善悪・美醜・優劣などの価値を決めること。
③人・物事の価格・価値を決めること。
④学習の効果・到達度を判定すること。

書かれている意味合いを見てみると「考課」は歴史が関係するくらいかなり昔からある言葉で「評価」は最近の言葉ということがわかります。

結論!人事考課と人事評価の違いとは

人事考課と人事評価の違いをまとめると「人事考課と人事評価という2つの言葉に大きな違いはないが、人事評価の方がより大きな概念で、その中に人事考課が含まれている」というものになります。
また、レイティング(ランク付け)を行う人事制度のことを「人事考課制度」と表現する場合があり、その場合はノーレイティングのことを「人事評価制度」と表現しています。

人事評価

従業員が企業の経営理念や方向性に沿った行動や成果を出しているかを評価して、昇給・昇格だけでなく人材育成・能力開発・配置転換などの指標としても利用すること。

人事考課

従業員個人の成果や業績、企業への貢献度や能力を評価して、昇給・昇格など人事面における処遇を適切行うこと。

人事制度・人事評価制度・評価制度の違い

この三つの言葉を混同して同じ意味合いとして使っている方が多いですが、一般的には下記のような意味合いになります。

人事制度=人事評価制度>評価制度

人事制度と人事評価制度は同じ意味で、評価制度は人事制度を構成する一つの制度を意味します。
ちなみに、人事制度(人事評価制度)と評価制度それぞれの意味は下記のようなものになります。

人事制度(人事評価制度)企業が従業員を管理するための仕組み。
等級制度・評価制度・賃金制度(報酬制度)で構成される。
評価制度人事制度を構成するツールの一つ。
従業員の成果や内容を評価する基準や指標を定めた制度のこと

人事制度(人事評価制度)を構成する要素

人事制度の構成要素には3つの精度があります。この3つの制度は密接に関係しあっています。

等級制度従業員を序列化する枠組み
評価制度評価の項目・基準を定める
賃金制度(報酬制度)報酬の基準を定める

1.等級制度

等級制度は、人事制度を構成する要素の一つで、経営理念や経営計画を従業員個人レベルの役割に落とし込んで、各等級と役職に求める職務の基準を定義し、その基準に従業員を位置付けて目標を設定して評価を行うという、人事制度の柱となる制度のことです。
等級制度において重要なことは、定義した職務の基準に対して従業員の評価を行う際に相対評価ではなく絶対評価で行うということです。

等級制度の大まかな仕組み(例)

等級役職役割定義
5部長部門の統括責任者として経営陣の補佐を行い、管理部門の目標設定・実行ができる。
4課長企業の経営理念を理解し、担当課の責任者として組織目標の設定・実行ができる。
3係長上級者の補佐業務を行いつつ、担当業務の目標設定・実行や、部内全体としての業務目標を共有・実行することができる。
2主任中級的な内容の業務を単独で行うことができ、下級者にアドバイスすることができる。
1一般社員上級者の指示のもと、業務を行うことができる。

※上の表は例なので実際の等級制度の内容とは異なります。

等級制度のメリット

等級制度を設定して職務の基準を定義することで、従業員は企業が求める人材像を明確に知ることができるようになるので、業務を行う上での目標を定めやすくなります。その結果として具体的な行動目標の設定/達成からのモチベーションアップにつながることもメリットの一つです。
また、企業にとっては従業員の仕事レベルに応じた賃金を支払うことが可能になり、従業員に求める仕事のレベルを明確に示すことができるといったメリットがあります。

企業・求める職務のレベルを示すことができる
・職務レベルに応じて適正な賃金を支払うことができる
・人事管理の運営が柔軟化する
従業員・具体的な仕事内容をイメージしやすくなり、モチベーションアップにつながる
・自身の将来モデルを描きやすくなり、キャリアアップ計画を立てやすい

評価を受ける立場である従業員にとって、等級制度や評価制度が「平等」で「明確」であり、評価や処遇が評価する人の性格や価値観や感性などに左右されるのではなく、基盤となる制度にもとづいて評価がなされるということは非常に重要なポイントです。

等級制度の種類

等級制度には大きく「能力」「職務」「役割」の3つの軸があり、下の図のように3種類に分けられます。

1.職能資格制度

「職能資格制度」は、従業員が持つ能力(職務遂行能力)を基準にして区分・序列化する等級制度で、日本独自の制度として知られています。
職務遂行能力は「企業が社員に期待する能力」のことで「勤続を重ねると能力が向上する」という考えにもとづいていることから、年功序列や終身雇用を前提とした制度になります。また、等級を職務(職種)を超えて設定することから、ジョブローテーションなどを通じてゼネラリスト(幅広い分野の知識と経験がある人)を育成する大企業に向いている制度です。

2.職務等級制度

「職務等級制度」は、欧米で発達した制度で、職務を基準として職務の価値に応じて区分する等級制度です。
従業員が担当する職務は職務内容記述書に記述された内容に明確に限定され、職務レベルと仕事の市場賃金相場をベースに、その職務の熟練度や資格などの項目で評価して賃金や報酬を決定します。
この制度は同一労働同一賃金が原則でスペシャリストの育成に適しています。

3.役割等級制度

「役割等級制度」は、それぞれの役職や仕事に求められる「役割」を明確にし、その役割の大きさに応じて等級を設定し、区別・序列化する等級制度です。
職務の内容ではなく、役割を果たすために求められる行動を定義して、役割の内容に応じて待遇を決定します。定義する役割には定型化された職務だけでなく非定型な業務も含まれます。
役割等級制度は、これまで多くの日本企業で採用されてきた職能資格制度や、日本企業には馴染みにくい職務等級制度に変わって、等級制度のスタンダードになりつつあります。

3種類の等級制度の比較

職能資格制度職務等級制度役割等級制度
特徴・日本企業固有の人事制度
・ジョブローテーション等を通じてゼネラリストを育成してきた大企業に向いている
・海外で発達した制度
・同一労働同一賃金が原則
・学歴/年齢/勤続年数といった属人的要素は考慮しない
・「職能資格制度」「職務等級制度」両方の持メリットを持つ制度
・役割とは、職責を果たすために求められる行動を概略化したもの
・能力があっても役割を果たしていなければ評価は受けられない
・職種ごとに役割等級を設定
メリット・長期的な能力開発が可能
・ゼネラリストの育成に適している
・人材の配置転換が容易
・給与の見通しが立てやすく、社員にとって安心感がある
・コアスキル習得に長い時間がかかり、そのコアスキルが企業競争力となる場合に向いている
・合理的に給与を決定できる
・スペシャリスト育成に適している
・総人件費が抑制できる
・評価が明確で容易
・不必要な職務は圧縮される
・合理的に給与を決定できる
・個人個人の役割の明示により、従業員の自律的な行動を促せる
・組織の経営理念に連動した価値基準が浸透する
・組織や職務の変化に対応しやすい
・総人件費はやや低めになる
デメリット・年功賃金に陥りやすく、総人件費が高騰する恐れがある
・全職務に共通する能力考課なので、基準が抽象的になりがち
・等級と職務内容にずれが生じやすい
・年齢層に偏りのある企業では組織がいびつ化しやすい
・職務記述書の作成が煩雑
・運用に一定ノウハウが必要
・生活給への配慮が困難
・組織のチームワークが育ちにくい
・職務が変わらない限り給与も変わらず、社員のモチベーションダウンにつながりやすい
・制度の設計と運用が重要であり、技術を必要とする
・世相に応じて定期的な役割の見直し等運用力が求められる

2.評価制度

評価制度は、従業員の能力や企業への貢献度を評価するための制度です。経営理念や経営計画を踏まえた上で、企業に貢献するためにどのような行動をすべきかを評価項目と評価基準として明確に定めて、従業員を評価します。
評価制度は等級制度や賃金制度と連動していて、評価が良ければ等級や役職が上がり(昇格)給与も上がります(昇給)。

3.賃金制度(報酬制度)

賃金制度は等級や評価にもとづいて給与・賞与などの報酬を決めるための制度です。賃金制度の役割には「会社への貢献度」と「従業員の成長度」を明確にしてそれを報酬に反映するというものがあります。
賃金制度にはいろいろな体系があります。それぞれの体系にはメリット・デメリットがあり「この賃金体系が良い」というものはないので、企業の考え方や方針によって決定すべきものです。

年功給年齢給・勤続給・家族手当・住宅手当
能力給能力給・職務給・役割給・役職手当・資格手当
成果給成果給・歩合給・業績給・営業手当・報奨金

人事制度の評価対象

人事制度での基本的な評価対象(評価軸・基準)としては主に下記の3つがあり、この3つの要素を組み合わせて従業員を評価するのですが、各要素のバランスについては会社の方針や等級・部署(職種)によって異なります。

1.成果(業績)評価

成果(業績)評価とは、社員の発揮した能力や成果を一定期間内に評価する方法のことで、成果や目標への達成度(時にそのプロセスも)を客観的に数値化して把握し評価します。その他の数値化しにくいプロセスについては、上司や同僚・部下からヒアリングして数値化します。

2.職務(能力)評価

職務(能力)評価は、業務上求められるスキルや知識などの保有状況で従業員を判断します。
業績評価と違い数値化ができないので評価が簡単ではないのですが、その企業独自に作成した、等級ごとに定められた評価ルールに従って評価することになります。
評価されるポイントは特に難易度の高い仕事やイレギュラー対応の結果で、例え能力があったとしても、仕事で発揮されなかったものは評価の対象になりません。

3.行動評価

社員の勤務態度や意欲などから評価するもので「情意評価」「態度評価」とも言います。
具体的には
・組織内ルールを遵守しているか
・責任を持って業務にあたっているか
・チーム内で協力する姿勢を持っているか
などが評価の対象となります。
行動評価は成果評価・職務評価と比較して具体性・客観性に欠けるため、定量的な評価が難しく、人事評価エラーも起きやすい特徴があります。
評価者の独りよがりの評価結果とならないように、同僚や部下などの上司以外の関係者の意見も集めて、公平な評価に努める意識を持ち続ける必要があります。

人事制度を実施する際のポイント

人事制度の導入・運用に際して下記2つは密に関係しており、どちらも不可欠な条件です。

①従業員に納得してもらうこと
②従業員のモチベーションを向上させ得る意味合いを持つこと

人事評価は人が行う評価という点で完璧ではありませんが、完璧でないからこそ、そのことを常に自覚し意識し、できる限り「公正」かつ「平等」な人事評価を心がけようという意識がとても大切です。
それらを踏まえた上で、企業が人事制度を導入する際に気をつけるポイントを挙げていきます。

1.評価基準を公開し、明確にする

評価する項目や基準などの各条件が、明確かつわかりやすく公開されていることが重要です。明確な評価基準は人事評価の信頼性の根拠になり、社員の行動指針になります。

2.具体的な評価

評価の結果が具体的でなければ、評価される従業員は納得できません。根拠の不明な評価は従業員の不信感をあおり、仕事へのモチベーションや企業への貢献意識を下げてしまいます。
従業員が納得できるよう、総評だけでなく「この仕事がこのように評価された」「この行動ができていなかった」など、客観的かつ具体的に評価する必要があります。
そして、評価の理由を正しく従業員に伝え、今後の行動に結びつけることが大切です。

3.絶対評価の採用

絶対評価とは、他の従業員と比較することなく、あらかじめ定められた基準と従業員の能力を照らし合わせてランク付けする評価方法です。
それと反対の意味合いを持つ、相対評価を採用している企業も少なくありませんが、従業員に対する説得性や納得度が高いのは絶対評価であり、「人事評価」の目的のひとつであるモチベーションアップやそれによる業績アップをねらうには絶対評価が向いていると言えます。

4.プロセスの重視

数値化された結果のみを重要視するのではなく、そこに至ったプロセスに注目することも大切なポイントです。
このことにより、目的達成に向けてすべき行動特性(コンピテンシー)が明確になり、従業員の「結果だけでなく行動も評価されている」という自覚を促し、モチベーションの維持にもつながり、結果として会社への貢献も高まります。

人事制度設計構築(改定見直し)のスケジュール

人事制度づくりは、人事制度を構成する等級制度・評価制度・賃金制度という3つの構成要素を設計/構築していくことで、そのための手順や流れがあります。下記は人事制度設計の概要スケジュールです。

人事制度設計の概要スケジュール

現状分析

賃金分析・社員アンケート

STEP
1

制度設計

等級制度・評価制度・賃金制度

STEP
2

制度導入

規程改訂・社員説明会など

STEP
3

制度移行(制度検証メンテナンス・評価者研修)

制度検証メンテナンス・評価者研修など

STEP
4

制度運用

STEP
5

人事制度設計・導入・運用スケジュール表(例)

上記の人事制度設計の概要スケジュールをより詳しくしたものが下記人事制度設計・導入・運用スケジュール表(例)です。オリジナルでゼロから人事制度を設計/構築する場合、約2年間かけて進めていくことになります。

区分期日詳細
制度方針策定5月〜6月現状分析
 賃金分析
 社員アンケート
制度設計6月〜翌年4月等級制度
 等級制度設計
 概要説明書(評価制度編)の作成
評価制度
 評価制度設計
 概要説明書(評価制度編)の作成
賃金制度
 賃金制度設計
 賃金制度の検証
 賃金制度の移行
 概要説明書(賃金制度編)の作成
制度導入翌年5月賃金規程の改訂
格付通知書の作成
社員説明会の開催
制度移行翌年6月〜翌年4月賃金制度の検証①(夏季賞与)
評価者研修の実施①
評価シートの試験運用①(四半期)
評価シートのメンテナンス
評価者研修の実施②
評価シートの試験運用②(四半期)
賃金制度の検証②(冬季賞与)
賃金制度の検証③(昇給)
制度総合検証
制度運用翌年4月新制度本格運用開始

人事制度が失敗するポイント5つ

多大な時間と手間と費用かけてつくった人事制度を導入してみたら、うまく機能せず運用することができず、結局もとに戻してしまう会社は多いですが、人事制度が失敗するには共通のポイントがあります。

1.人事評価軸を統一して失敗

社内の不公平感をなくそうと大卒と高卒の評価制度を一本化したところ、大卒の従業員が行う営業・企画・開発などの仕事と高卒従業員の行う製造・物流での仕事は質が違うため、それを統一化した人事評価軸で評価することで不満が起こりやすくなります。

2.公平な評価ができなくて失敗

評価者の価値観や思い込みなどで、実際とは違う評価をされてしまうと従業員から評価に対する不満が発生しやすくなります。いわゆる「人事評価エラー」と呼ばれるものです。

3.評価結果を給与や賞与に反映できない

「評価結果に妥当性がないため給与に反映させることができない」
「評価結果を給与や賞与に反映すると原資が足りなくなるため、これまで通りに社長が給与を決定している」
など、評価制度自体には問題はなくても運用において問題が発生して、せっかく導入した評価制度を使えないということがあります。

4.評価の着眼点があいまい

評価の着眼点が、従業員に理解できていような抽象的で総括的な表現だったり、後ろ向きで個人攻撃になるような減点方式だったり、個人の性格的なことに言及していたりすると、従業員は混乱し、モチベーションが下がります。

5.厳しすぎる成果主義

組織として「成果主義」を運営する土壌が未成熟な段階で導入すると、チームワークがなくなり個人主義化したり、短期的な成果のみ目指したり、目標を低く設定しようとしたり、結果として人が育たなかったり(育てなかったり)して、企業にとってマイナスになります。

よくある人事評価エラー

人事評価エラーとは、評価者が実際の評価とは異なる評価を下してしまう誤りのことです。
評価を行うのが人である以上、人事評価エラーというのは避けては通れない問題ですが、人事評価エラーが発生すると従業員の心に不満をもたらし、モチベーションダウンにつながります。
評価者は評価に先だってエラーを理解することで、「自分の判断は公正であるか・評価の目的を達成しているか・従業員は納得できるか」などを意識し、実際に評価にあたることが大切です。

よくある7つの人事評価エラー

1.中心化傾向・極端化傾向

中心化傾向は、当たり障りのない無難な評価をしてしまい全体的に評価にばらつきがなく中心に偏ってしまうことです。評価者自身の自身のなさや被評価者との人間関係への過度な配慮や部下からの反発を避けるための評価者の保身が要因と考えられます。
極端化傾向は中心化傾向の反対に、評価者が中間値の偏りを気にして評価差をつけなければならないという意識が強すぎて極端に差がある評価をしてしまうことです。

2.寛大化傾向・厳格化傾向

寛大化傾向は、評価者が部下からの反発を恐れたり部下に良く思われたいという気持ちが強い場合や部下の仕事をしっかりと観察していなかった場合に起こりがちな現象で、評価が全体的に甘くなってしまうことです。
厳格化傾向は寛大化傾向の反対に、評価を意識しすぎるあまり被評価者に対して不当に厳しい評価に偏ってしまうことです。仕事能力が高い評価者が自分自身を基準として評価するときに起こりがちな現象です。

3.逆算化傾向

逆算化傾向は、昇給・昇格・賞与などの最終的な評価を先に決めてしまい、その評価になるように各項目の評価を後付けで帳尻合わせするように調整することです。

4.ハロー効果

ハロー効果は心理学の世界で使われている用語です。ハロー(halo)は英語で「後光」を意味していて、強い後光がさすと眩しくて光の前にあるものがはっきり見えなくなるということから、評価される人(被評価者)に目立った印象があった場合に、その印象に引きずられて他の面の評価もゆがめられてしまうことを意味します。

5.論理誤差

論理誤差は、事実を確認せずに評価者が頭の中で「○○だから××だろう」という不確かな独自の理屈で考えたり、いくつかの要素から評価者が自分の都合の良いように解釈したりして評価を決めてしまうことです。

6.対比誤差

対比誤差は、評価者が自分自身で持っている能力・スキル・知識などを被評価者と比較して、自分自身が得意で優れている部分については厳しく評価し、自分自身が増えてで劣っている部分については甘く評価することです。

7.期末誤差

期末誤差は、評価期間全体を見て評価するのではなく、評価期間後半の強く印象に残った出来事(成功/失敗)が評価全体に影響してしまうことです。
例えば同じ成果でもその発生時期が評価期間の前半か後半かで評価が変わってしまうのは期末誤差で、マイナス面として評価期間の後半だけ頑張ろうとする従業員が発生する恐れもあります。

人事制度の最新トレンド

従業員のモチベーションダウンや高い離職率などの組織の課題を解消する方法として人事制度の見直し(導入)が挙げられますが、政府の働き改革の推進など社会情勢の変化、個人のライフスタイルや価値観の変化による働き方の多様化などによって、旧来の人事制度では従業員を適切に評価することが難しくなっており、現代に合った新たな人事制度が登場しています。

360度評価

360度評価は多面評価とも呼ばれる人事評価制度です。従来の人事評価制度は上司からの評価だけですが、360度評価では上司だけでなく上司、同僚、部下、社内外の関係者が評価します。
上司だけでなくさまざまな立場の人がさまざまな視点で評価することで評価の属人化を防いで客観的で公平な評価を行うことができます。また、従業員が自他の評価の違いや自分の長所短所を認識することで従業員の意識改革も期待できます。

バリュー評価

バリュー評価は、企業の価値観とそれを落とし込んだ行動規範(バリュー)を評価項目の中に取り入れるもので、従業員が企業の価値観や行動規範(バリュー)をどれだけ実践できたか、会社の価値観や方針に沿って行動することで会社の価値観を共有したかどうか、等を評価します。

OKR

OKRとは「Objectives and Key Results(目標と主要な結果)」のことで目標(Objective)と主な成果(Key Results)を設定する目標管理手法です。会社全体でひとつの目標を設定してその目標に関連する2~3つの主な成果を設定します。
OKRは達成度が60~70%程度となるような余裕を持った高い目標を設定することが望ましいので、目標設定→進捗確認→評価という一連の流れを短いスパンで行います。

パフォーマンス・デベロップメント

パフォーマンス・デベロップメントは、これまでの人事評価のような半年や1年に1回といった長い間隔での個人評価ではなく、年間を通して頻繁にマネージャーと部下がコミュニケーションを行うことで、短い期間で評価と改善のPDCAサイクルを回すことができ、従業員の成長と業績の向上を図るマネジメント手法です。

ノーレイティング

ノーレイティングとは従業員をランク付けしない人事評価制度のことです。従来の人事評価制度は半期など一定期間で評価を行って「S」「A」「B」「C」などの評価ランクを付けて昇給・昇格・賞与に反映させていましたが、ノーレイティング制度では上司と部下が密にコミュニケーションを行ってリアルタイムでの目標設定とフィードバックを繰り返していくことで、従業員の能力や姿勢などをその都度評価します。

リアルタイム評価

リアルタイムフィードバックとは、従来の半年に一度、年に一度といった長期的スパンで行われる人事評価とは違い、評価者が数日または週単位など高頻度で「リアルタイム」なフィードバックを行なう手法です。評価する側もされる側も記憶が鮮明なうちに評価を行うことができるので精度が高く適正な評価を行うことができます。また、問題点の早期発見と解決にもつながります。

ピアボーナス

ピアボーナスは、全従業員が見られるオープンな場で従業員同士が仕事の成果などに対して評価するだけでなく感謝や称賛のメッセージと成果給として小額の報酬(インセンティブ)を送り合う制度のことで、給与や賞与と並んで「第3の給与」と呼ばれています。

チェックイン(Check-in)

チェックインとは、マネージャーと部下が1年間の継続的な面談を行うことで、コミュニケーションの頻度とフィードバックする機会を増やして短い期間でPDCAサイクルを回し、従業員の成長とスキルアップさらにモチベーションアップを図る制度です。グローバル企業のアドビ株式会社が導入していることで有名です。

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