【記入例付き】人事評価制度テンプレート|社員24名の会社で評価シートが完成するまで

【記入例付き】人事評価制度テンプレート|社員24名の会社で評価シートが完成するまで

「人事評価制度のテンプレートをダウンロードしたが、何を書けばよいか分からない」

「自社用に修正しようとすると、評価項目やシートの種類が増えてしまう」

「一般社員と管理職で、どのように評価基準を変えればよいか迷っている」

人事評価制度のテンプレートには、氏名、評価項目、点数、コメントなどを記入するための枠が用意されています。

しかし、その枠に何を入れるべきかは、会社によって異なります。

そのため、本記事では一般的な評価項目を一覧で紹介するのではなく、社員24名の架空企業「A社」を例に、空欄のテンプレートへ内容を記入していく過程を紹介します。

記事を読み進めると、次の内容を具体的に確認できます。

  • 部署名と職種をどのように整理するか
  • 人事評価シートを何種類作るか
  • 抽象的な評価項目をどのように書き換えるか
  • 一般職・監督職・管理職で基準をどう変えるか
  • 5点・3点・1点をどのように設定するか
  • 誰が誰を評価するか
  • 評価結果を面談や次期目標へどうつなげるか

なお、本記事に登場するA社は、人事評価制度の設計方法を説明するための架空事例です。

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目次

今回、人事評価制度テンプレートを作るA社の概要

A社は、法人向けに機器の販売、設置、保守を行っている社員24名の会社です。

これまでは、社長と部門責任者が社員の働きぶりを見て、昇給や賞与を決めていました。

しかし、社員から次のような意見が出るようになりました。

  • 何を頑張れば評価されるのか分からない
  • 部門によって評価の厳しさが違う
  • リーダーになった後、何を求められているのか分からない
  • 評価結果の説明がなく、給与だけが変わっている

そこでA社は、無料の人事評価制度テンプレートをダウンロードしました。

最初のシートには、次の項目が用意されていました。

項目テンプレートの初期状態
氏名・所属記入欄あり
評価項目責任感・協調性・積極性など
評価点1~5点
自己評価記入欄あり
上司評価記入欄あり
コメント記入欄あり
総合評価点数の合計欄あり

形式としては問題ありません。

しかし、A社では、このまま使用できませんでした。

「責任感がある状態とは何か」「一般社員と部長を同じ項目で評価してよいのか」「誰が最終評価を決めるのか」が決まっていなかったためです。

そこでA社は、いきなり評価項目を書き始めるのではなく、人事評価シートへ内容を入力する前に、制度の目的や職種区分、評価基準、評価者などの設計事項を順番に整理することにしました。

最初に決めること|人事評価制度を何に使うか

A社が最初に決めたのは、評価項目ではなく、人事評価制度を何に使うかです。

社内で話し合った結果、次のように整理しました。

確認項目A社の決定内容
最も重視する目的社員に求める仕事と役割を明確にする
2番目の目的面談を通じて社員の成長を支援する
3番目の目的昇給・賞与を決める際の判断材料にする
今回は行わないこと評価点だけで給与額を自動決定しない

A社では、昇給や賞与への反映だけを目的にすると、社員が点数ばかりを気にする可能性があると考えました。

そこで、まずは「現在の役割をどの程度果たせたか」を確認し、面談で次の課題を決めることを制度の中心にしました。

評価結果は昇給や賞与の判断材料にしますが、評価点だけで処遇を自動的に決めないルールとしました。

制度設計メモへ記載した内容

制度の目的:
社員に求める役割を明確にし、評価と面談を通じて成長を支援する。評価結果は、昇給・賞与・昇格を検討する際の判断材料として活用する。

この一文が決まったことで、評価シートには点数やコメントだけでなく、面談や次期目標につながる仕組みが必要であることも明確になりました。

次に整理すること|部署名ではなく、実際の仕事で職種を分ける

A社には、次の3部門があります。

  • 営業部
  • 業務部
  • 管理部

当初は、部門ごとに3種類の人事評価シートを作る予定でした。

しかし、仕事内容を確認すると、営業部には顧客へ提案を行う社員と、見積書や受注処理を担当する社員がいました。

同じ営業部でも、求められる仕事は異なります。

一方、営業部の受注処理担当者と管理部の事務担当者には、書類作成、期限管理、情報共有など、共通する仕事がありました。

そこでA社は、部署名ではなく、主な仕事内容を基準に次の職種へ整理しました。

職種主な仕事内容人数
営業職顧客への提案、見積り、契約、顧客フォロー7名
技術・サービス職設置、点検、修理、作業報告10名
事務職受注処理、請求、総務、経理、営業支援4名
経営・管理職部門管理、計画、人材育成3名

ここで重要なのは、部署名と職種を必ず一致させる必要はないということです。

所属部署が異なっていても、主な仕事内容と求める役割が近ければ、共通の評価項目を使用できる場合があります。

A社が用意する評価項目の区分

A社は、社員数と運用負担を考え、職種と階層を組み合わせたシートを大量に作るのではなく、次の構成にしました。

評価項目の区分対象
全社員共通の行動評価全社員
営業職の職務評価営業職
技術・サービス職の職務評価技術・サービス職
事務職の職務評価事務職
監督職の役割評価リーダー・主任
管理職の役割評価課長・部長

社員ごとの人事評価シートには、本人に該当する評価項目を組み合わせて表示します。

例えば、営業職の一般社員であれば、「全社員共通の行動評価」と「営業職の職務評価」を使用します。

営業部のリーダーであれば、そこへ「監督職の役割評価」を追加します。

この方法であれば、シートを必要以上に増やすことなく、職種と階層の違いを評価へ反映できます。

評価内容を整理する|職務評価と行動評価に分ける

A社がダウンロードしたテンプレートには、責任感、協調性、積極性などが並んでいました。

しかし、これだけでは、実際の仕事をどの程度できているのか判断できません。

そこでA社は、評価内容を「職務評価」と「行動評価」の2つに分けました。

職務評価

職務評価では、それぞれの職種・等級に求められる仕事を、どの程度遂行できたかを確認します。

営業職であれば、次のような内容が該当します。

  • 顧客ニーズの把握
  • 提案内容の作成
  • 見積りと契約手続き
  • 契約後の顧客フォロー

技術・サービス職であれば、次のような内容が該当します。

  • 作業手順の遵守
  • 安全確認
  • 作業品質
  • 作業報告書の作成

監督職や管理職については、職種に応じた業務に加えて、次のような内容を職務評価へ設定します。

  • 業務の進捗確認
  • 不備や問題への対応
  • 部下・後輩への指導
  • 部門目標の進捗管理
  • 業務分担や人員配置
  • 部門間の調整

同じ職種であっても、等級が上がるにつれて、担当業務の遂行だけでなく、進捗確認、部下指導、計画、管理など、求める責任の範囲を広げます。

行動評価

行動評価では、職種にかかわらず、会社の一員として求める行動を確認します。

A社では、次の6項目を設定しました。

  • ルールの遵守
  • 報告・連絡・相談
  • 周囲との協力
  • 顧客への対応
  • 業務改善
  • 時間と経費の意識

行動評価についても、すべての社員へ同じ基準を適用するわけではありません。

例えば「業務改善」であれば、一般職には担当業務の改善、監督職には改善の進捗確認と部下指導、管理職には部門全体の改善計画と効果管理を求めます。

このように、評価区分は職務評価と行動評価の2つに整理し、それぞれの評価基準を職種・等級に応じて変えることで、社員に求める役割の違いを反映します。


次に整理すること|部署名ではなく、実際の仕事で職種を分ける

A社は、社員数と運用負担を考え、職種と等級の組み合わせごとに評価シートを大量に作るのではなく、次の構成にしました。

評価項目の区分対象
全社員共通の行動評価全社員
営業職の職務評価営業職
技術・サービス職の職務評価技術・サービス職
事務職の職務評価事務職

社員ごとの人事評価シートには、本人の職種と等級に応じた評価基準を表示します。

例えば、営業職の一般社員と営業職の管理職は、どちらも「営業職の職務評価」を使用しますが、求められる仕事や責任の範囲は異なります。

一般社員には、上司の指示・指導のもとで担当業務を遂行することを求めます。

監督職には、単独で業務を進めることに加えて、進捗や不備の確認、部下・後輩への指導を求めます。

管理職には、部門計画の作成、施策の推進、人員や業務の統括を求めます。

この方法であれば、評価区分を必要以上に増やすことなく、職種と等級の違いを評価基準へ反映できます。

階層ごとの違いを決める|同じ評価項目の基準を等級ごとに変える

A社では、同じ「業務改善」という評価項目であっても、すべての社員へ同じ基準を適用しません。

一般職と管理職では、担当する仕事の範囲や責任が異なるためです。

そこで、「業務改善」の基準を等級定義に合わせて書き分けました。

階層3点の評価基準
一般職上司の指示・指導のもと、担当業務の問題点を確認し、改善に取り組むことができる。
中堅職担当業務の問題点を自ら把握し、改善を実施して結果を確認することができる。
監督職担当業務の改善を進め、進捗や不備を確認するとともに、部下・後輩を指導することができる。
管理職部門の改善計画を作成し、関係者を統括しながら、実施状況と効果を管理することができる。

階層が上がるにつれて、次のように求める責任の範囲を広げています。

自分の担当業務

改善の実施と効果確認

部下の進捗確認と指導

部門全体の計画・推進・統括

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「人材育成」も等級に応じて変える

A社では、人材育成についても等級別に基準を設定しました。

階層3点の評価基準
一般職自分が習得した業務手順や注意点を、後輩へ分かりやすく伝えることができる。
監督職部下・後輩の習得状況を確認し、必要な指導と進捗確認を行うことができる。
管理職部門に必要な人材像を明確にし、育成計画を作成して実施状況を管理することができる。

「人材育成」を独立した役割評価にするのではなく、各等級に求める職務または行動として評価基準へ反映します。

役職名だけで区分するのではなく、任せる仕事と責任の範囲を等級別の評価基準として明確にすることが重要です。

A社の人事評価制度テンプレート完成版

設計項目A社の完成内容
制度の目的役割の明確化と社員の成長支援
対象者正社員・契約社員
評価期間半期ごと
職種営業、技術・サービス、事務
階層一般職、中堅職、監督職、管理職
評価区分職務評価、行動評価
評価基準職種・等級ごとに設定
評価段階5段階
3点基準現在の職種・等級に求める水準を満たした状態
一次評価者日常業務を把握する直属上司
評価調整部門責任者・社長による評定会議
面談評価確定後に直属上司が実施
次期目標目標展開シートへ記録
昇給・賞与総合評価を判断材料として別途決定
昇格上位等級の役割を継続して担えるかで判断

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まとめ

今回紹介したA社では、次の8つの項目を順番に検討しました。

  1. 人事評価制度を何に使うか決める
  2. 部署名ではなく、主な仕事内容で職種を整理する
  3. 評価内容を職務評価と行動評価に分ける
  4. 抽象的な項目を確認できる行動へ変える
  5. 同じ項目の評価基準を等級ごとに変える
  6. 3点を中心に5点・3点・1点を作る
  7. 誰が誰を評価するか決める
  8. 評価後の面談と次期目標まで設計する

監督職や管理職に求める役割は、独立した「役割評価」として設けるのではなく、職務評価または行動評価の基準を等級ごとに変えることで反映します。

この方法であれば、評価区分やシートの種類を必要以上に増やすことなく、一般職・監督職・管理職に求める仕事と責任の違いを明確にできます。

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