【職種別の評価項目例付き】保育園の人事評価制度|保育士・調理員・事務員まで設計する方法
「保育士をどのような基準で評価すればよいのか分からない」
「経験年数が長い職員ほど給与が高くなっているが、このままでよいのだろうか」
「保育士だけでなく、調理員や事務員を含めて公平に評価できる制度を作りたい」
保育園で人事評価制度を作ろうとすると、このような課題が出てきます。
特に難しいのが、評価シートだけを作っても人事制度としてうまく機能しないことです。
保育士、保育補助、調理員、事務員では担当する仕事が違います。また、同じ保育士でも、新人と主任では求められる役割が異なります。
そのため、保育園の人事評価制度では、単に「評価項目を決める」のではなく、
誰に、どのレベルの仕事を求め、それをどのように評価し、昇給・昇格につなげるのか
まで整理することが重要です。
この記事では、保育園で人事評価制度を作る際の考え方から、職種別の評価項目、評価基準、運用方法まで順番に解説します。
保育園の人事評価制度は「評価シート」から作らない
人事評価制度を検討するとき、最初に
「どんな評価項目を入れるか」
から考えてしまうケースがあります。
しかし、評価シートだけ先に作ると、
- 新人とベテランを同じ基準で評価している
- 主任になっても一般職時代と評価内容がほとんど変わらない
- 保育士と調理員で同じ評価項目を使用している
- 高評価を取っても昇給や昇格との関係が分からない
といった問題が起こりやすくなります。
人事評価制度を作るのであれば、まず「園の中にどのような仕事と役割があるのか」を整理するところから始めます。
保育園の人事評価制度は「職種×等級」で考える
保育園には、保育士以外にもさまざまな職種があります。
たとえば、
- 保育士
- 保育補助
- 調理員・栄養士
- 看護師
- 事務員
などです。
担当している仕事が違えば、当然、評価すべき内容も変わります。
さらに、同じ保育士であっても、求められる役割は全員同じではありません。
新人には、まず園のルールを理解し、安全に基本業務を行うことが求められます。
経験を積んだ職員には、自分の担当業務だけでなく、周囲との連携や後輩への支援も期待されるようになります。
主任などのリーダー層になれば、クラスや園全体の状況を把握し、職員を育成する役割も加わります。
そのため、人事評価制度では「勤続○年だから上位」という年数だけの区分ではなく、現在任せている仕事と役割に応じた等級を設定する方法が考えられます。
等級のイメージ
| 階層 | 求める役割の例 |
|---|---|
| 初級 | 指示・指導を受けながら基本業務を確実に行う |
| 一般 | 担当業務を一人で安定して遂行する |
| 中堅 | 周囲と連携しながら担当業務を進め、後輩を支援する |
| リーダー | クラスや担当業務の進捗を確認し、メンバーを指導する |
| 主任・管理職 | 園全体を見ながら人材育成や業務改善を進める |
大切なのは、役職名を付けることではありません。
「次の等級になると何ができる必要があるのか」を職員が理解できる状態にすることです。
保育園の評価項目は「行動」と「職務」を分けて考える
評価項目を作るときは、大きく2つに分けると整理しやすくなります。
1.職員として求める行動
職種にかかわらず、園で働く職員として求める行動です。
たとえば、
- 報告・連絡・相談
- チームワーク
- 規律・ルールの遵守
- 主体性
- 改善意識
- 後輩指導
- リーダーシップ
などがあります。
ただし、同じ「報告・連絡・相談」でも、等級によって求める水準を変えます。
新人であれば「必要な事項を上司へ報告する」。
中堅であれば「周囲の状況も確認し、必要な情報共有を行う」。
リーダーであれば「情報共有の不足がないか確認し、メンバーを指導する」。
というように段階をつけます。
2.職種ごとに必要な専門業務
もう一つが、それぞれの職種で担当する仕事に対する評価です。
同じ園で勤務していても、保育士と調理員、事務員では必要となる専門性が異なります。
そのため、職種別に評価項目を設定します。
保育所保育指針においても、保育士・看護師・調理員・栄養士等が、それぞれの職務内容に応じて専門性を高めていくことが示されています。
【職種別】保育園の人事評価項目の例
ここからは、実際にどのような項目を評価するのかを見てみましょう。
保育士の評価項目
保育士については、「子どもへの接し方」だけで評価しないことがポイントです。
たとえば、次のような項目が考えられます。
| 分野 | 評価項目例 |
|---|---|
| 保育実践 | 子どもの発達や状況に応じた援助 |
| 保育計画 | 指導計画の作成・実施・振り返り |
| 安全管理 | 事故防止、健康状態の確認、安全ルールの実践 |
| 保護者対応 | 日々の情報共有、相談対応 |
| 記録 | 保育記録・連絡事項等の正確な作成 |
| チーム連携 | 担任間・他クラス・他職種との連携 |
| 人材育成 | 後輩への指導・フォロー |
すべてを一度に評価する必要はありません。
園として特に重要な仕事を整理し、評価項目を絞り込むことが重要です。
調理員・栄養士の評価項目
調理員や栄養士を保育士と同じシートで評価すると、専門業務が十分に評価できません。
たとえば、
- 衛生管理
- 調理業務の正確性
- アレルギー対応
- 食材管理
- 献立・栄養管理
- 食育への取り組み
- 保育士との情報共有
などを設定します。
保育士との連携も重要ですが、それだけではなく、調理・栄養業務そのものを評価する項目を設けることが必要です。
事務員の評価項目
事務職の場合は、
- 書類作成の正確性
- 期限管理
- 行政提出書類への対応
- 個人情報管理
- 電話・来客対応
- 職員への事務支援
- 業務改善
などが考えられます。
保育士と直接比較するのではなく、それぞれの職種の役割に対して評価を行います。
保育補助の評価項目
保育補助については、保育士とまったく同じ評価基準にする必要はありません。
たとえば、
- 保育環境の準備・片付け
- 子どもの安全への配慮
- 保育士の業務補助
- 清掃・衛生管理
- 必要事項の報告
- 園内ルールの遵守
など、実際に担当している業務から評価項目を設定します。
「できている・できていない」だけではなく評価基準まで決める
評価項目を決めただけでは、評価者による判断の違いはなくなりません。
たとえば、
「保護者とのコミュニケーションができている」
だけでは、
「どこまでできれば高評価なのか」
が分からないからです。
そこで、評価項目ごとに判断基準を作ります。
例:保護者への情報共有
標準となる評価
子どもの一日の様子や変化について、必要な情報を整理し、保護者へ分かりやすく伝えることができる。
この「標準」を基準にして、
- 標準以上にできている状態
- 標準どおりできている状態
- 標準に達していない状態
を決めます。
評価者が「なんとなく良い」「いつも頑張っている」と判断するのではなく、実際の行動を確認して評価できる状態にすることがポイントです。
保育園の人事評価制度で起こりやすい3つのズレ
制度を作る際には、評価項目そのものより「制度全体のつながり」に注意する必要があります。
1.全職員を同じ評価シートで評価している
一つの評価シートを全員に使用すれば、管理は簡単です。
しかし、新人と主任、保育士と調理員では、求める仕事内容が異なります。
最低限、
職種による違い
と
等級による違い
は評価制度に反映させた方が、仕事内容との整合性を取りやすくなります。
2.評価項目が多すぎる
公平に評価しようとして項目を増やしすぎると、評価する側の負担が大きくなります。
評価項目が30項目、40項目あっても、日常業務の中ですべてを正確に確認するのは簡単ではありません。
「評価できる項目」ではなく、
「園として特に大切にしたい項目」
を選ぶことが重要です。
3.評価結果と昇給・昇格の関係が決まっていない
評価制度を作っても、
「A評価だったらどうなるの?」
「主任になるには何が必要なの?」
という質問に答えられなければ、制度への理解は進みません。
評価結果を、
- 昇給
- 賞与
- 昇格
- 配置
- 育成・研修
のどこに使用するのかをあらかじめ決めておきます。
評価と給与は「点数=金額」にしない
評価結果を給与に反映する場合でも、
「評価点が1点上がれば給与を○円上げる」
という単純な仕組みにする必要はありません。
一般的には、
評価
↓
総合評価ランク
↓
昇給・賞与・昇格の判断
というように段階を分けます。
たとえば、評価結果からS・A・B・Cなどの総合評価を決め、その評価に応じて昇給幅や賞与の取扱いを決定します。
こうしておけば、一つの評価項目だけで給与が大きく変動することを防ぎやすくなります。
保育園の人事制度を整える場合、どのくらい費用がかかる?
人事評価制度は、評価シートだけでなく、等級制度や賃金制度までどこまで設計するかによって必要な内容が変わります。
JINJIPACKでは、従業員数・職種数・等級数を選択するだけで、人事制度設計の概算費用を確認できます。
「保育士・調理員・事務員を分けて評価したい」といった場合の費用を確認したい方は、簡易見積りをご利用ください。
人事評価制度は「年2回点数を付ける仕組み」ではない
評価制度を機能させるには、評価日だけでなく、年間の運用を決める必要があります。
一例として、
- 期初
- 本人へ求める役割と評価項目を確認する
- 期中
- 日常業務や面談を通して進捗を確認する
- 期末
- 本人の振り返りと上司評価を行う
- 評価決定
- 評価者間で判断基準を確認する
- 評価面談
- 良かった点・今後伸ばす点を本人へ伝える
- 次期
- 次の評価期間で取り組む内容を決める
という流れが考えられます。
評価制度の目的は、半年後に職員へ点数を知らせることではありません。
「次に何ができるようになればよいのか」を職員と共有することまで含めて評価制度と考えることが重要です。
保育園の人事評価制度を作る5つの手順
ここまでの内容を整理すると、制度づくりは次の順番になります。
保育士、保育補助、調理、事務など、どの職種を評価制度の対象とするのか整理します。
一般職、中堅、リーダー、主任など、園内で求める役割の段階を整理します。
等級ごとに求める行動と、職種ごとの専門業務を評価項目として設定します。
「できる」「優れている」といった抽象的な表現ではなく、実際の行動で判断できる基準にします。
昇給、賞与、昇格、育成など、評価結果を何に反映するのか決定します。
この順番で作ることで、
等級 → 評価 → 処遇
につながりを持たせることができます。
保育園に合った人事評価制度を一から作るのが難しい場合は
職種・等級・評価・給与を一つずつ整理していくと、自園に合った制度を作ることができます。
一方で、
- 保育士だけでなく調理員や事務員も評価したい
- 新人から主任まで段階別の評価基準を作りたい
- 評価結果を昇給・賞与につなげたい
- 現在の給与とのバランスを確認しながら制度を移行したい
といった場合には、評価シートだけではなく、人事制度全体の設計が必要になります。
JINJIPACK保育園版では、保育士・調理員・事務員・保育補助など、保育現場の職種に合わせて、等級制度・評価制度・賃金制度を一体で設計します。
園の現在の制度や職員構成に合わせて設計内容を調整できるため、「既存の給与をできるだけ活かしたい」「現在の評価表を見直したい」といったご相談にも対応しています。
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保育園の人事評価制度は「園が求める成長」を見える形にする仕組み
保育園の人事評価制度を作る目的は、職員に順位を付けることではありません。
新人には何を身につけてほしいのか。
中堅職員にはどこまで任せたいのか。
主任にはどのように園全体を支えてほしいのか。
それを言葉にして職員と共有することが、人事評価制度づくりの重要な役割です。
そのためには、評価シートだけを作るのではなく、
職種・等級・評価・給与を一つの仕組みとして設計すること
が重要になります。
現在使用している評価表がある場合は、まず、
「この評価項目は誰を評価するためのものか」
「新人と主任で求める基準は変わっているか」
「評価結果が昇給や昇格とどのようにつながっているか」
の3点を確認してみてください。
評価制度全体のつながりを整理することが、自園に合った人事評価制度づくりの第一歩になります。


