育成就労協議会・週休2日費用計上終了など建設業人事労務ニュース3選
本記事では、2026年7月17日〜22日に建設専門紙・国土交通省関連から報じられた人事労務ニュースの中から、建設業(総合工事業・専門工事業、元請/下請含む)の経営者・人事労務担当者にとって関心の高い3件を厳選してお届けします。2027年4月1日に施行される育成就労制度をめぐる「建設分野育成就労協議会」の運用状況、大阪府都市整備部における週休2日費用計上の終了、そして国土交通省が後押しする建設産業体験プログラム——いずれも、外国人材の受け入れ体制や処遇改善、採用戦略の見直しに直結するテーマです。制度の確定事項と未確定事項を区別しながら解説します。
国交省、建設分野育成就労協議会の運用開始――2027年4月1日施行に向け対応を
技能実習制度を発展的に解消して創設される育成就労制度が、2027年4月1日に施行される。施行時点で既に技能実習を行っている外国人等には一定の経過措置が設けられる。これに先立ち、国土交通省などが主導する「建設分野育成就労協議会」が発足し、初会合は2026年6月23日に開催、協議会規約が定められた。規約上、建設分野で育成就労外国人を受け入れる育成就労実施者は協議会への加入が必要とされており、特定技能外国人受入事業実施法人である建設技能人材機構(JAC)の正会員・賛助会員等に所属する事業者は、協議会に加入しているものとみなされる。協議会は、関係者間の情報共有・連携や、制度の適正な運用に必要な協議・措置を主な目的とし、構成員には事務局の依頼に応じた受け入れ状況等の定期報告義務が規約上定められている。2026年9月1日からは育成就労計画の施行日前申請の受付が始まる予定である。(2026年7月時点の情報)
協議会への加入は「必要」――JAC会員は原則加入済み扱い
建設分野で育成就労外国人を受け入れる育成就労実施者は、規約上、建設分野育成就労協議会への加入が必要とされている。すべての建設事業者が対象になるわけではなく、原則として育成就労外国人を受け入れる事業者が対象である。JAC(建設技能人材機構)の正会員・賛助会員等に所属する事業者は、協議会に加入しているものとみなされるため、既にJACに加入している事業者は追加手続きが不要な可能性が高い。一方、JAC未加入事業者向けの具体的な加入手続きは、国土交通省が今後公表するとしており、外国人材の受け入れを予定する事業者は早めに自社の加入状況を確認しておきたい。
定期報告は規約上の既定義務――報告内容の詳細は今後案内
協議会規約には、構成員である育成就労実施者が事務局の依頼に応じて、受け入れ状況や育成就労の実施状況等を定期的に報告する義務がすでに定められている。ただし、日本語能力の向上状況をどこまで具体的に報告するかなど、報告様式の詳細は現時点では明確にされていない。なお、技能実習制度でも第1号技能実習生には日本語等の入国後講習が求められてきた経緯があり、外国人材への日本語教育自体が制度上初めて登場するわけではない。監理型育成就労を行う場合は監理支援機関と、将来的に特定技能1号へ移行する場合は登録支援機関と、それぞれ役割分担を確認しておく必要がある。
転籍制限は原則2年、昇給の「仕組み」自体はすでに確定
建設分野の分野別運用方針では、本人意向による転籍の制限期間は原則2年とされ、受け入れ企業は育成就労計画において1年を選択することもできる。制限期間経過後も、本人意向による転籍には技能・日本語能力等の要件を満たす必要があり、無条件に転籍できるわけではない。また、転籍制限期間を2年とする場合、協議会が毎年設定・公表する昇給率以上に、1年目から2年目にかけて所定内賃金を引き上げる仕組みがすでに定められている。具体的な昇給率は今後公表されるため、賃金制度・等級制度の見直しを検討している事業者は、自社の賃金テーブルへの反映方法を確認しておきたい(具体的な昇給率は2026年7月時点で未公表)。
大阪府都市整備部、週休2日取得費用の計上を8月から終了(住宅建築局所管工事は対象外)
大阪府都市整備部(住宅建築局公共建築室を除く)は、土木・設備工事における週休2日の実施を条件とした別枠の費用計上(労務費・共通仮設費・現場管理費の補正係数、従来1.02〜1.03倍程度)を終了する方針を明らかにした。国土交通省の直轄工事における運用に準じた措置で、報道によれば大阪府は「週休2日の実施に必要な費用は、公共工事設計労務単価や諸経費率に反映されている」との考えを示している。適用は2026年8月1日以後の単価適用年月日を用いて積算業務に着手する工事からとなる見込みである。あわせて、振り替え休工の回数制限を撤廃し、悪天候による振り替えも新たに認める運用に改める。なお、住宅建築局(公共建築室)が所管する建築工事・建築設備工事には別の「週休2日促進工事実施要領」が適用されており、労務費・現場管理費の補正は引き続き設けられている。(2026年7月時点の情報)
対象は都市整備部所管工事――住宅建築局所管の建築系工事は対象外
今回の措置は、大阪府都市整備部が発注する工事のうち、住宅建築局(公共建築室)所管を除く土木・設備工事等が対象である。住宅建築局所管の建築工事・建築設備工事には別途「週休2日促進工事実施要領」が適用されており、発注者指定方式や受注者希望方式に応じた労務費・現場管理費の補正は、今後の契約工事についても引き続き設けられる見込みである。自社が受注する工事がどちらの制度の対象かによって扱いが異なるため、発注者・所管部局を確認したうえで見積り・契約への影響を判断する必要がある。
「計上終了」であって労務費や賃金を直接引き下げる措置ではない
公共工事設計労務単価は積算に用いる基準であり、個々の下請契約単価や技能者に実際に支払われる賃金を直接拘束するものではない。今回の措置は、週休2日実施を条件とした別枠の費用計上を終了するものであり、労務費や下請単価を一律に引き下げることを定めるものではない。ただし、実際の見積りや下請契約に、週休2日実施を前提とした適正な労務費水準が反映されているかどうかは事業者ごとの確認が必要であり、元請・下請間で認識をすり合わせておくことが望ましい。なお、今回の変更は大阪府の積算・発注ルールの変更であり、労働基準法上の休日・時間外労働規制を緩和するものではない。
振り替え休工の柔軟化は現場運用にプラス材料
費用計上終了と同時に、振り替え休工の回数制限が撤廃され、悪天候による振り替えも新たに認められる点は、現場運用上プラスの改善といえる。天候不順による工程遅延が生じやすい建設現場において、振り替え休工の柔軟な運用は、従業員の週休2日を実質的に維持しながら工期遵守との両立を図りやすくする。他の都道府県・政令市でも同様の見直しが広がる可能性があるため、自社が受注する工事の発注元の運用ルールを継続的に確認しておきたい。
国交省、高校生・学生・社会人向け建設産業体験プログラムを実施
国土交通省から事業を受託した運営事業者は、「建設業への入職促進に向けた魅力発信事業」の一環として、高校生・学生・社会人等を対象とした建設産業体験プログラムを2026年8月から2027年2月にかけて実施すると公表した。参加費は無料(交通費・宿泊費は自己負担)で、8月は東京都江東区・愛知県名古屋市・大阪府大阪市の3会場で開催される。プログラム内容は、原寸大モデルを使った施工体験、建物の図面づくり体験、建設DX体験、ドローン体験、空間創造ワークショップ、職人体験など多岐にわたる。参加申込みは特設サイトから受け付けている。建設業の仕事内容や職場環境を実際に体験してもらうことで、若手入職者の減少への対応と業界イメージの向上を狙う取り組みであり、人手不足が続く建設業界にとって注目される施策である。(2026年7月時点の情報)
参加者としての申込みは特設サイトから――協力企業としての参加可否は要確認
体験プログラムへの参加者(高校生・学生・社会人等)としての申込み方法や開催日程はすでに公表されており、特設サイトから申し込むことができる。一方、中小の建設事業者が体験先・協力企業として公募に参加できるかどうかについては、現時点で確認できる公式情報は限られており、国土交通省または運営事務局への別途確認が必要である。自社の採用活動と連動させたい場合は、まずは特設サイトや事務局からの案内を確認し、協力企業としての参加枠の有無を問い合わせておくとよい。
業界イメージ向上は処遇改善とセットで効果を発揮
職業体験による魅力発信は、実際の処遇・労働条件が伴って初めて入職・定着につながる。時間外労働の上限規制対応や週休2日の定着といった経営に直結するテーマと合わせて自社の働き方・賃金水準を発信することが、体験プログラムをきっかけに関心を持った若年層の入職意欲を実際の応募・入社へとつなげる鍵になる。求人票や採用サイトにおいても、体験を通じて伝わりやすい「仕事のやりがい」と「処遇の具体性」の両輪を意識したい。
自社で高校生を受け入れる場合は年少者の安全管理に注意
国のプログラムとは別に、自社独自でインターンシップや現場見学を受け入れる場合、特に満18歳未満の高校生に実作業を体験させる際は、労働基準法第62条や年少者労働基準規則に定める危険有害業務の制限に注意が必要である。雇用関係がある場合や実態として労働に当たる場合は、これらの規定の適用が問題となるため、安全教育、保険加入、学校・保護者との事前調整等をあらかじめ確認しておきたい。若手入職者の確保は業界全体の継続的な課題であり、自社に合った受け入れ体制を計画的に整えていくことが望ましい。
よくある質問(FAQ)
建設分野育成就労協議会には、すべての建設事業者が加入する必要がありますか?
A. すべての建設事業者が加入する必要があるわけではありません。建設分野で育成就労外国人を受け入れる育成就労実施者は、規約上、建設分野育成就労協議会への加入が必要です。ただし、特定技能外国人受入事業実施法人であるJAC(建設技能人材機構)の正会員・賛助会員等に所属する事業者は、協議会に加入しているものとみなされます。JACに未加入の事業者向けの具体的な加入手続きについては、国土交通省から今後案内される予定ですので、外国人材の受け入れを予定する場合は最新情報を確認してください。
週休2日の費用計上が終了すると、下請企業の労務費は下がってしまうのでしょうか?
A. 今回の変更は、大阪府都市整備部(住宅建築局所管を除く)が発注する工事において、週休2日実施を条件とした別枠の費用計上を終了するものであり、労務費や下請単価を一律に引き下げることを定めるものではありません。ただし、公共工事設計労務単価は個々の下請契約単価や支払賃金を直接拘束するものではないため、工事の実態に応じた適正な労務費が見積り・契約に反映されているか、元請・下請間で確認することが重要です。なお、住宅建築局所管の建築工事・建築設備工事には別の補正制度が引き続き適用されます。
高校生向けの建設産業体験プログラムに、中小の建設事業者も参加できますか?
A. プログラムの開催日程や参加者(高校生・学生・社会人等)向けの申込み方法は、運営事業者から特設サイトを通じてすでに公表されています。一方、中小の建設事業者が体験先・協力企業として参加できるかどうかについては、公式に確認できる情報が限られているため、国土交通省または運営事務局への個別確認が必要です。自社で独自に職場体験を実施する場合は、満18歳未満の参加者に対する危険有害業務の制限など、年少者の安全管理にも注意してください。
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出典:
・「国交省ら/育成就労適正運用へ協議会発足/受け入れ企業は加入義務」日刊建設工業新聞(2026年7月17日)https://www.decn.co.jp/?p=186117
・建設分野育成就労協議会(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00022.html
・育成就労計画の施行日前申請(法務省・出入国在留管理庁)https://www.moj.go.jp/isa/03_00174.html
・「大阪府/土木・設備工事の週休2日費用補正終了」日刊建設工業新聞(2026年7月17日)https://www.decn.co.jp/?p=186131
・週休2日(4週8休)工事(大阪府都市整備部)https://www.pref.osaka.lg.jp/o130030/jigyokanri/giken/4syu8kyu_kouji.html
・週休2日促進工事の実施について(大阪府住宅建築局)https://www.pref.osaka.lg.jp/o130240/koken_keikaku/hattyu_kouji/syukyu2kakouzi.html
・「入職促進へ体験講座/高校生などに魅力発信/国交省」建設通信新聞Digital(2026年7月22日)https://www.kensetsunews.com/?p=1262770
・建設産業体験プログラム 運営事業者プレスリリースhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000042502.html
※本記事の内容は2026年7月22日時点で確認できた情報です。確定情報は厚生労働省・国土交通省・法務省(出入国在留管理庁)等の公式発表でご確認ください。

